2011年 04月 05日
やわらかなレタス |
江國香織 (著)
ここにあるのは幸福な魂の食事。
食べものをめぐる言葉と、小説、旅、そして日々のよしなしごと。
江國さんの作品は、どれも言葉で言い尽くせないほど好き。
小説もエッセイも絵本も翻訳も
どれもみんな。
過去のエッセイ、どの作品も素敵なのだけど、
この作品は、またさらに秀逸。
まるで自分の姉か妹か
そのくらい身内の者からの手紙を読むような気持ちで
ひとつひとつの話を堪能しました。
うん。 うん。 そう!
と、深く共感しながら。
心の中で くすくす笑いながら。
私が小さい頃、
ひらがなを覚えようとしていた頃のこと。
ある日、ふと、ともだちに思っていたことを話してみた。
なんの注意もせずに 不用意に。
「なぁなぁ ひらがなって、いっこいっこに顔があると思わん?」
するとともだちは、ぽかんとした顔をして、
じぃっと私の顔を見つめた。
言っている意味がわからないという顔で。
私は急に恥ずかしくなって、そのままその話はそこでおしまいになった。
もしも、江國さんがあの時のともだちだったら、
きっと分かってくれたかもしれない。
ずっとそんなことを勝手に思っているのです。
それにしても。
江國さんの大人と子供の同居ぶりには、
ずいぶん前から憧れにも似た好ましい思いを抱いていました。
ちゃんと仕事をして、妻もやって、
家事もこなして、時々は仕事で海外へ出かけたり、
一人旅もしてみたり、
タバコもたしなむし、お酒もたくさんのおいしいものを知っている
おそらく恋にはとても情熱的
そんな素晴らしい大人ぶりを見せるかと思いきや、
ささいなことにとてもびっくりしたり、
自動車の運転が苦手だったりする。
この作品の中で、すごぅく他人と思えなかったところ。
魚にそれぞれイメージを当てはめるところ
自動車の運転が苦手な理由のあれこれ(実にたくさんびっくりする!)
ペットボトルやパッケージの言葉や文章に引っかかると
釘づけになって凝視してしまう
昔から電話が怖い
方向音痴
機械が苦手で、怖くて、怖がるあまりほとんど憎悪している
などなどなど
「大草原の小さな家」や「ピーターラビット」のお話が
ちらりと出てくるのもうれしい。
私はもう十分な大人なのだけれど、
今でも日が暮れてからは一人で出かけられない。
出かけた先で、一人でご飯を食べられない。
たとえファストフードでも。
スターバックスになんて到底入れない。
昔から電話が怖い。
とても人見知り。
きっと私は変なのだろうと思っていたけれど、
江國さんなら分かってくれるかもしれない。。。
4月1日 読了
by childrenmammy
| 2011-04-05 23:30
| BOOK