2006年 05月 01日
東京タワー |
東京タワー リリー・フランキー 著
私は読書に関しては、すごくへそまがり。
すごいベストセラーになればなるほど、
手に取ることが苦手。
(村上春樹さんの本だけは違いますが)
きっとそれで、おそらくずいぶん損をしている事でしょう。
この本も、昨年の6月に発売されるや、
大ベストセラーになりましたね。
いろんなところで評価され、絶賛され、
さまざまな感想を見るに付け、
やっぱり素直に手に取れなくなっていました。
ひとりの人間の人生を、ことこまかく書いてゆけば、
一応は本になるだろうし、
そこに肉親の死と別離というエッセンスが加われば、
“泣ける本”ということで売れるのだろう・・・
と、そんなひねくれたことを思っていました。
まぁ、図書館で予約しておいて、いつか読んでみようかな、と。
そして、10ヶ月ほどして、私はこの本を手にすることになりました。
本当に、生意気な穿った見方しかできないでいた自分を
恥ずかしいと思います。
泣ける本だからベストセラーになった、ということでは決してなかった。
私は、ひとときも本を閉じる事が出来ず、
どっぷりと引き込まれて読み終えました。
序盤から、ところどころで涙ぐみ、
後半では、もう涙がとめどなく流れ、
嗚咽をこらえるのが せいいっぱいでした。
ティッシュを箱ごと持ってきて 読み続けました。
オカンの なんと魅力的なことか。
強く 優しく 明るく 朗らかで
働き者で 料理上手で ・・・・
どれだけの人に愛されていことか・・・
大きく あたたかく ただ ただ 無欲の母親の愛情
きっと誰もが
オカンのことを愛さずにはいられないに違いない。
こんな風に生きる事ができるだろうか
まだ間に合うだろうか
自分の胸に問い掛けました。
この世に生まれてきたということは、
必ず母親が居るということ。
子供である誰もが、きっと心の奥深く刻み込まれるお話であり、
自分と対話する本であるでしょう。
作中に出てきた、一編の詩が胸に残ります。。。
母親というのは無欲なものです
我が子がどんなに偉くなるよりも
どんなにお金持ちになるよりも
毎日元気でいてくれる事を
心の底から願います
どんなに高価な贈り物より
我が子の優しいひとことで
十分過ぎるほど倖せになれる
母親というものは
実に本当に無欲なものです
だから母親を泣かすのは
この世で一番いけないことなのです
葉祥明 「母親というものは」
by childrenmammy
| 2006-05-01 13:27
| BOOK